昨年から、むし歯予防に関するデータを掲示する旨お伝えしていましたが遅くなりました。解説をつけてご説明いたします。
上記は、2009年から2011年にかけて当院を初診された方々の、初診時のむし歯や、むし歯を治した跡の数の合計です。いずれも若い年代ではむし歯を治している数は少なく、年齢が上がるほどむし歯の痕跡が多くなっていきます。どの年もその傾向はあまり変わりません。
次に、全国や秋田県、秋田市と比較した、12歳時の平均むし歯(むし歯を治した歯を含む)本数を示します。全国に比べて、秋田県、秋田市がむし歯の本数が多いことがわかります。当院では2010年には全国を下回っていましたが、2011年には秋田県、秋田市よりは下回っているものの、全国平均よりはむし歯が多いという結果になりました。これに考察を加えると、2011年に初診でいらした12歳の方のむし歯経験数がお一人で12本であったものが資料に含まれているため、2011年での12歳時のむし歯経験数が多くなったものと考えられます。
最初の3つのグラフでは、初診時年齢が低いほど、むし歯の経験数が少ないことがわかります。後の2つのグラフでは、当院では秋田県、秋田市と比較して12歳時のむし歯経験数は少ないものの、全国と比べるとどっこいどっこいだと言うことがわかります。以上を踏まえて、2011年の12歳時の資料となった方の、当院への通院期間の長さを調べてみました。
表から、経過を長くみている方の方がむし歯の経験数が少ない傾向が見られます。最初の3つのグラフに示される通り、年齢が低いほど、う蝕の経験数が少ないわけで、その頃から予防を意識して過ごせば、むし歯の経験を減らすことが出来ると示唆されていると思います。矯正治療と関係なく、若い年齢から予防のために定期的に通院することは、意味のあることだと考えています。
最後に、2010年と2011年の12歳時のカリエスフリー率(全12歳の患者さんに対するむし歯が1本もない方の割合)を示します。今はまだ60%に届きませんが、地道に予防を普及させることで、徐々に割合を上げ、最後には90%を目指したいと思います。
このためには、先のデータから、出来るだけ早期に患者さんに来院していただき、矯正治療が始まるずっと前であっても、予防のために通院して頂きたいと考えて居ります。しっかりとしたデータに基づく予防処置は、能率的で有効です。予防を行っている間に、矯正治療への理解も深め、医院に慣れることが出来ます。患者さんの意識を若い頃から育てられれば、その次の世代の意識も当然高いものになると思われます。そういった正の連鎖が、地域の健康に役に立てばと思います。かかりつけの先生であっても、当院であっても、とにかくしっかりとデータに基づく予防の普及が、地域医療に役立つと考えています。